「二人行けど」
![イメージ](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhGpJnAqOr7V61XPag9R_Z6C5njML8C1uxDwZK7m_WoQnPg5CnZraa9-6wiuHShLFYNK-OoeKf1fbU9AJQef0TxOYDPE8eB5walMIiYHSRTAelIl3m3s4d6xe7GfjvKxa1agcj2GvSKY-Jk/w476-h316/%25E4%25BA%258C%25E4%25B8%258A%25E5%25B1%25B1%25E5%25A4%2595%25E6%2599%25AF.webp)
「二人行けど 行き過ぎがたき 秋山を いかにか君が 独り越ゆらむ」 大伯皇女(おおくのひめみこ) 万葉集 105 はるばると この伊勢の斎宮まで わたくしを 訪(おとの)うてくれた 弟背(いろせ) 今朝は 大倭(やまと)へと 一人 旅立つ 鈴鹿峠あたりは 秋色あざやかであろうが 二人で 越えるのさへ 寂しいのに 弟背は おひとりで 秋山をゆく その向こうの 大倭に 待つものを 知りながら 父 大海人(おおあま)の 王(おおきみ)が ご存命であれば こうしたことには ならなかったであろうに 大王 大海人の ご信任篤く 「状貌魁梧、器宇峻遠」 「詩賦の興り、大津より始れり」 とまで いわれた弟背 だが 叔母 鵜野讃良皇后(うののささらの おおきさき)は 草壁皇子(くさかべのみこ) 擁立のため 弟背 大津皇子を なきものにせん としている ああ 今生のわかれ 弟背に ふたたび 見(まみ)えることは もう かなわぬ夢 二上山の夕景