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「草原の輝き」

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 「草原の輝き」の中の、   心に残るワーズワースの詩。 Though nothing can bring    back the hour  Of splendor in the   grass Of glory in the flower We will grieve not. Rather find strength   in what remains behind. William Wordsworth (1770-1850) 草原の輝き  花の栄光 再びそれは還(かえ)らずとも なげくなかれ その奥に秘めたる力を見い出すべし 高瀬鎮夫訳 二十歳の頃に見た記憶に残る映画で、好きな女優だったナタリー・ウッド主演の映画が二本あります。 一つは言うまでもなく「ウェストサイド・ストーリー」で、レナード・バーンスタインの音楽、ジェローム・ロビンスの踊りに心躍らせました。後に社会人となって NY に暮らしたときは、ウェスト・サイドの治安の悪さに驚いたものでした。 もう一つは、名匠エリア・カザンの「草原の輝き」です。忘れ得ぬ映画の一つです。 オランダ キューケンホフ

「詩吟 富士山」

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      仙客来り遊ぶ 雲外の巓 神龍栖み老ゆ 洞中の淵 雪は紈素の如く 煙は柄の如し 白扇倒に懸かる 東海の天        「富士山」 石川 丈山         仙人の来りて遊ぶ        雲より突き出たる頂上       老いた龍神の住むという       山頂の洞窟の淵       白雪の色は絹の如く       たなびく煙は          扇の柄のようである  大きな白扇がさかしまに     東海の天に懸かっている     ふもと さへあつくぞありけるふじの山       みねにおもひのもゆる時には        「元良親王集」 神韻富岳 村上義則氏撮影

「桜月夜」

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  清水へ 祇園ををよぎる 桜月夜   こよひ逢う人 みなうつくしき          与謝野晶子     独身で   大阪は淀屋橋勤務の頃   仕事を五時に終えて   四人の仲間と   京阪電車に乗って   円山公園の枝垂れ桜を   愛でに行ったことがあった   赤い毛氈を敷いた酒席で   満開の枝垂れ桜を見上げながら   日本酒の盃を重ねた   忘れ得ぬ   桜月夜の   花浄土 「花明り」 東山魁夷

「回 文」

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「くさくさの なはしらぬらし はなもりも     なはしらぬらし はなのさくさく」     後ろから、読んでみてください     これが回文     名も知らぬ花が     人知れず     咲いている     あれが     わたしの 姿   有名な回文和歌には、桃山時代の下記がある。   なかきよのとおのねふりのみなめさめ   なみのりふねのおとのよきかな   そして古きは平安時代の下記の回文和歌である。   むらくさにくさのなはもしそなはらば   なぞしもはなのさくにさくらむ   元来は中国の漢詩に見られ、英語などでも   回文が見られるらしい。 旧浜離宮恩賜公園  

「古今和歌集 恋歌十選」

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  「ほととぎす鳴くや皐月のあやめぐさ  あやめもしらぬ恋もするかな            詠人不知 」 「すみの江の岸に寄る波夜さへや  夢のかよひぢ人目よくらむ          藤原敏行 」 「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ  夢と知りせば覚めざらましを           小野小町 」 「露ならぬ心を花におきそめて  風吹くごとに物思ひぞつく          紀 貫之 」 「ありあけのつれなく見えし別れより  あかつきばかり憂きものはなし            壬生忠岑 」 「君や来し我や行きけむ思ほへず  夢か現か寝てかさめてか          詠人不知 」 「かきくらす心の闇にまどひきに  夢うつつとは世人さだめよ          在原業平 」 「月やあらぬ春や昔の春ならぬ  わが身ひとつはもとの身にして          在原業平 」 「色見えでうつろふものは世の中の  人の心の花にぞありける           小野小町 」 「人知れず絶えなましかばわびつつも  無き名とぞだにいはましものを            伊 勢 」

「枕草子と中宮定子」

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 「枕草子が中宮定子の頌徳記といわれるのも当然です。枕草子もあらゆる意味で、中宮のおつくりになったもの、といっても過言ではありますまい。心ゆくもの、、うつくしきもの、あてなるもの、心ときめくもの、めでたきもの、すべては中宮のものであり、すべては中宮のことなのです。」      白州正子  「たしなみについて」( 1948 年) 白州正子は、また「歴史を通じて、ほんとうに円満に、すべてを備えた美しい女性といったら、まず第一にあげたくなるのが、この中宮様です。」とも書いている。 白州に言わせれば、清少納言は中宮定子という「美しい姿と心」の、その語り部であったに過ぎないのであろう。 こうしてみると、「枕草子」を産んだ中宮定子、そして「源氏物語」を支えた中宮彰子の二人を后とした、一条天皇とはどのような人物であったのだろう。

「秋 思」

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「永劫の 涯に火燃ゆる 秋思かな         野見山 朱鳥 」 秋の夕陽が めらめらと 燃えながら 遠い山の端に 落ちてゆく わたしの想いが 落ちてゆくのは    ただひとつだけ あの夕陽の 真紅の色のように そう あの女(ひと)のもとへ