「現世浄土」
「源氏物語で仏教思想はもちろんあるが、その根本思想は現世浄土ではないか。それは平安王朝の精神であった」 三島由紀夫 道長は権力とお金で、浄土を現世に持ってこようとした。 理想社会と美の極地を、現世のものとしようとした。 紫式部が権力ではなく言葉で編み出そうとした現世浄土の最高の境地が、「胡蝶」の巻あたりではないか。 三島由紀夫は、このように源氏物語を解釈していた。 道長は今の岡崎あたりに京極御堂と呼ばれる法成寺を建造、この世の浄土を創りあげた。 またその息子頼通は宇治に平等院鳳凰堂を建立している。 まさに浄土思想全盛の時代であった。 宇治 平等院 鳳凰堂