「君に恋ひ」

 「君に恋ひ 甚(いた)もすべなみ 奈良山の


 小松が下に 立ち嘆くかも

              笠 郎女 」


   お慕いする 貴方さまは

   いまだ 越中の国府におられます

   はるかな路を 

   貴方さまにお逢いするため

   往来いたしましてより 早幾年

   貴方さまを偲ぶよすがとして

   わたくしにできるのは

   奈良山より 貴方さまのご自宅のある

   佐保の里を 遠望するのみ

   小松が下に佇んで

   ただただ 露に心を濡らすことのみ

明日香の里




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