「紫のひともとゆゑに」

 「紫の ひともとゆゑに むさし野の


 草はみながら あはれとぞみる」

         伊勢物語 41段


この広い 武蔵野の 小川の傍で

出遭ったお前

紫の瞳が 朝の日を浴びて

私を見て 輝いていた

そうして

その夜 私は お前の

その紫の瞳が 闇の中で

煌くのを 初めて見た

 

今も こうして草を食めば

お前の 紫の瞳への

 

いとおしさが

甦ってくる

紫草



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