「傍目の美しさ」

 「躾とは身を美しくあれと書く、服飾のことではない。また型通りの礼儀作法でもない。要は、傍目を大切にせよ、との教えである。立居振舞いが恭謙で、言う事為す事がつつしみ深く、思いやりがあって傍に迷惑を及ぼさなければいい。人が、傍目の美しさを心掛ければ、人の世は美しくなる。理非の問題ではない。」

     「平家」池宮彰一郎 (日経新聞)

 いい文章ですね。この文を読むと、傍目の美しさとは見た目の美しさではなくて、「心の持ち方の美しさ」なんだということが判ります。僕の好きな白洲正子は「理解することは簡単なことである。大切なことは判ると言うことではなく、それが身についているかどうかと言うことである」と言っていて、最近この言葉を心の中で反芻しています。

 「判っているけど、実際にはできないこと、もしくは身についていないこと」は、自分を省みても山ほどあります。

大徳寺 龍源院 一枝担


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