「空の名残 - 徒然草」

 -某(なにがし)とかやいひし世捨て人の、


 「この世のほだし持たらぬ身に、

  ただ、空の名残のみぞ惜しき」

 と言ひしこそ、まことに、さも覚えぬべけれ-

              吉田兼好 「徒然草」


   森本哲郎は「空の名残-僕の日本十六景」の中で

   文字通りに「空の余光」それこそ

   「夕づく日 入りてしまらく 黄なる空の色」

   と受け取りたいとしている

   夕暮れの空の微妙な移り変わりが

   我々の目に映り

   心もそれにつれて深い思いに浸される

   ---------

   万葉集の御代、源氏物語の王朝時代、

   平安末期の西行の世界、

   鎌倉末期の吉田兼好の「徒然草」、

   江戸前期の芭蕉の風雅、

   我々日本人は、如何に自然に順応して、

   その姿を自分の心に映して

   生きてきたことであろう

六義園の夕暮れ




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