「髪と夢の歌」

 「眠りつつ 髪をまさぐる 指やさし

      夢の中でも 私を抱くの

          俵 万智  」

俵 万智は、この短歌を詠む時に

次のどの和歌が

頭の中にあったのだろうか

「黒髪」

黒髪の 乱れも知らず うち臥せば 

   まづかきやりし 人ぞ恋しき

           和泉式部

長からむ 心も知らず 黒髪の 

   乱れてけさは 物をこそ思へ

         待賢門院堀河

かきやりし その黒髪の 筋ごとに

   うち臥す程は 面影に立つ

         藤原定家

ぬばたまの 妹が黒髪 今夜もか

 吾が無き床になびけて寝らむ

       柿本人麻呂歌集

「夢」

思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 

   夢と知りせば 覚めざらましを

            小野小町

うたたねに 恋しき人を 見てしより 

    夢てふものは 頼み初めてき

            小野小町

夢殿


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