「川端康成 美と伝統」

 「川端は異性を情熱のバロックとしてとらえることによって、彼自身の文学を確立した。その記念碑が『雪国』である。川端が求めていたのは美しい肉体をいっそう美しいものにする生命のはげしさであった。」

「結婚も家も社会もまぼろしであり迷いである。生命のほむらのままに女は愛する男にすべてを与えてしまうがいい。そこに女であることの美しさとかなしさと切なさがある。」

    吉村 貞司  『川端康成・美と伝統』


愛に情熱といのちを燃やす女の

美しさと切なさを描いた

『雪国』の駒子と葉子

人生の叙情と官能のロマネスク

『美しさと哀しみと』の音子とけい子

この四人いずれもが

一人の女の分身である

愛に命のほむらを燃やし

その激しさ切なさゆえに

美しさが際立つのだ








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