「翌檜物語」

 「トオイ トオイ 山ノオクデ フカイ フカイ 雪ニウズモレテ

 ツメタイ ツメタイ 雪ニツツマレテ ネムッテシマウノ イツカ」 冴子

「寒月ガカカレバ 君ヲシノブカナ

 アシタカヤマノ フモトニ住マウ」  鮎太

「信子の言い方を以ってすると、多くの人間は大抵翌檜だが、大きくなって檜になる歴とした檜の子もその中に混じっている。ただそれの見分けがつきにくいことが問題だと言うのであった」

「誰が檜の子かしら。大澤さんかしら、鮎太さんかしら」

そんなことを信子はよく言った。」

         井上 靖 『翌檜物語』


  少年たちは皆檜にならんとする翌檜の木だ

  そして年上の高貴で見目麗しき女性に憧れる

  翌檜の木

  Japanese elk horn ceder
  
 多くの少年たちは翌檜のまま大人になる

 そして仲間の内から出た檜を賞賛し支えるのだ

 
           翌檜の木



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